はただデンタルクリニックでは他院からのご紹介で 親知らずの抜歯や移植も多く行っております。 親知らずとは? 親知らずとは第3大臼歯のことで前から数えて8番目の歯です。 第2大臼歯が12歳ころまでにすべて生えて出てくるのに対して、 親知らずは成人してから生えることが多いです。 また、物事の分別がつく年頃になってから生えてくる歯であることから 親知らずのことを wisdom tooth と言います。 日本語では智歯と言われています。 昔の人類は狩猟をして生の肉や木の実など硬い物を食事として食べていました。 おそらくそのような食べ物を咀嚼するのは大変だったと思います。 そのためかどうかはわかりませんが 食べ物を噛み砕く大臼歯が3本必要だったのでしょう。 ただ、現代の人類はどうでしょう? すでに調理されたやわらかい食事を食べており、 親知らずの必要性は徐々になくなってきています。 そしてそれにともなって現代人の顎は進化して小さくなってきています。 一番後から生えてくる親知らずは生えてくるスペースがなく、 顎の中に埋まってしまったり横になって生えたりします。 その結果、歯ブラシも充分に届かず虫歯になったしまったり、 親知らずが原因で智歯周囲炎という病気まで起こってしまうことがあります。 智歯周囲炎を放置すると重篤になり入院や手術が必要になることすらあります。 これを予防するために症状がなくても早めに抜歯するという 選択を取ることはよくあります。 親知らずの抜歯の必要性について 親知らずは必ず抜かなければならないものなのでしょうか? そして親知らずを抜く条件とはなんでしょう? 1.痛みや腫れの原因になっている場合 2.痛みが無くても虫歯になっている場合。 (ただしごく初期の虫歯であれば保存可能) 3.下の絵のように横になって生えていたり、斜めになっている場合。 (この場合親知らずの周りの炎症がおきる可能性が非常に高い) 4.咬む相手がない場合 (歯というものは上下の歯で咬むことによって仕事をするので存在価値がない) 5.他の歯に悪影響を及ぼす可能性がある場合 親知らずがあることで他の歯に悪影響を与えたりすることがあります。例えば下の写真のように前の歯(第2大臼歯)の後ろ側に虫歯を作ってしまったりすることも良くあることです。こうなると前の歯は神経を抜かなければならなくなってしまうこともあります。 また親知らずが原因で前の歯の管理ができないあるいはしづらいことがあります。例えば親知らずがあることで前の歯の歯周ポケットが深くなってしまうことです。 この場合は親知らずを抜歯してあげることで前の7番を守ることができるかもしれません。 上記の場合親知らずの抜歯の適応になると考えています。 前にも書きましたが、親知らずは一番後からはえてくることもあり虫歯になりやすく、ハブラシが届きにくいことから炎症も起きやすい歯です。そして、特に下の親知らずは炎症を起こすと比較的短時間で重症になりやすく、生命が危険にさらされることもあります。そのような理由から最終的には「抜いてしまう」という運命になることが非常に多い歯です。 あともう一つ、女性の場合は妊娠することで女性ホルモンの影響により口の中の炎症がおきやすくなります。妊娠性歯肉炎や妊娠性エプーリスなどという疾患もあります。もし妊娠を予定されている方は自分の親知らずの状態を歯科医院で確認して診てもらって早めに抜歯された方が良いでしょう。妊娠してから痛くなっても、レントゲンを撮影したり薬を飲んだり抜歯をしたりするのは容易にすることはできません。 親知らずの抜歯は大変なのか? 親知らずの抜歯が大変だと言われていますが、 同じ親知らずでも上と下ではまったく違います。 例外もありますが下の親知らずに比較して、 上の親知らずは容易に抜けることが多いです。 その理由として下の顎の骨というのは上の顎の骨よりも硬く、 弾性が少ないからなのです。 簡単に言えば上の骨は柔らかいので歯を抜くときに骨がゴムのように少したわんでくれるのです。これに対して下の骨硬く、たわみが少ないので親知らずに限らず歯を抜くときには少しコツが必要です。 また、下顎の親知らずは横になっていたり、斜めになっていたり、 また埋まっていたりと普通の歯とはちょっと違う状態にあることも 抜歯が大変な理由です。 横になっている親知らずがそのままでは出てこないので、 歯を2つないし3つに割って抜いてきます。 そのためには歯肉を少し切開したり、 骨を削ったりしなければならないこともあります。 しかし、実際は、抜歯にかかる時間は難易度により変わってきますが、 5分から20分くらいです。 (ただこれに関しては個人差がありますので大体の目安にしてください。) 麻酔を効かせている時間や止血をしている時間を合わせると 30分くらいと考えておいた方が良いでしょう。 結局、思ったより大変じゃなかったという方がほとんどです。 あまり、ネガティブな先入観を持たなくて良いかもしれません。 私は常に患者さんへの負担を軽減するためには麻酔を充分に効かせ、 抜歯している時間をなるべく少なくすべきだと考えております。 特に、下の親知らずを抜歯するときには 下顎孔伝達麻酔という麻酔方法を行いますので痛みは感じることはありません。 また、親知らずの抜歯を行うにあたって常に私が考えるとは、 リスクを少なくするのはもちろんのこと、なるべく痛くないように、 そして術後の腫れやさまざまな症状が少なくなるようにしております。 親知らずを抜くリスクは? 私はいつも「親知らずを抜いた後は3日間は少し腫れますよ、そして一週間はちょっとつらいですよ」と言っています。個人差があるのでみなさん同じとは限りませんが、経験上大体このような経過をたどることが多いのです。 親知らずを抜いた後の腫れは2日目から3日目がピークでその後は徐々に引いてきます。 中には頬に黄色いあざのような内出血のあとが出る方がいますがこれも徐々に引いてきます。そして、抜いた後の重い感じは一週間でなくなります。 一つ注意が必要なのは抜いた直後は血の味がして気持ち悪いと思いますが、 頻繁にうがいをしたり、血液を吐いたりすると傷の治りが悪く痛みがひかなかったり(ドライソケット)、細菌に感染したりすることがあるのでご注意下さい。 またこれも経験上ですが喫煙をされる方は痛みが長引く傾向にありますのでご注意を。 それから親知らずを抜いた後に風邪をひいたときのようにのどが痛くなったり、 口が開けづらくなることがあります。 これは親知らずがのどに近く、 口を開け閉めする筋肉にも近いことからこのような症状が出ます。 そういったことも親知らずを抜いた後の大変さに感じることが多いのでしょう。 また、親知らずの根元の部分には下顎神経という太い神経が通っていますし、 親知らずの内側には舌神経という舌の感覚を支配している神経が通っています。 親知らずの抜歯の際にこの神経にダメージが加わると、 神経の麻痺が出ることがあります。 ただ、神経を切断しない限り感覚は徐々に戻ってきます。 この場合にもCTを撮影することにより神経の状態を把握して、 抜歯手術を行うことにより神経への影響を最小限にすることができます。 また親知らずの抜歯の際のCT写真に関しては保険の範囲内で撮影できるようになりました。 クリニックのブログで実際に親知らずを抜歯した症例を紹介しております。参考にしてください。
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